翔和学園では、怒りや興奮状態、ストレスをコントロールするために、「アンガーログ(怒りの記録)」を用いています。本日は、その記入例を紹介します。
A君は、授業で囲碁をした後、教室で怒りだしました。
その時の様子を「アンガーログ(怒りの記録)」で振り返ります。
■A君のアンガーログ(怒りの記録)
①それは「どんな場面」だったのか?
囲碁をしているときに、対戦の様子を先輩に見られた。その先輩が自分の対戦相手に「そこ、置けるよ」と口を出しをたせいで、負けてしまった、と書かれています。
これではまだ良くわかりません。アンガーログ(怒りの記録)をもとに、本人と話していきます。
②「どんな気持ち?」「どれくらいの大きさ」だったのか
気持ちの温度計では「怒りそう」だったが、怒った(爆発)までは行かなかった。そのときの気持ちは「イライラ」「かなしい」「くやしい」。
③「どう対応したのか?」
「ゆるせなかった」けれど、爆発はしなかった、と彼は話しました。
我慢?したのだろうか…
さらに確認していきます。
④「もう一度、やり直せるとしたら、どうする?」
「やりなおし」の質問については「無理です」ということで、その時には取り合ってくれませんでした。
整理すると次のようになります。
①そもそも先輩が観戦していた時からイライラしていた。
②まさかと思っていたけれど差し手を教えられてくやしかった。
③先輩は力が強くて逆らってもどうにもならないとわかっていたから爆発できなかった。
感情コントロールをして「我慢」したわけではないことがわかります。
Y君は、「相手によっては怒りを我慢できるのかな?」
と担当教員が、質問すると
「はい。殴られるとわかっている相手の場合は我慢します。」
と答えました
……。
爆発しなかった… 一見我慢している、と思える場面でも、必ずしも正しい信念に基づいて行動しているわけではありません。これまでの成育歴のなかで、身に着いた認知パターンが歪んでいることがあります。一朝一夕で修正できることではありませんが、認知パターンと社会とのズレ、歪みについて、様々な場面で「アンガーログ(怒りの記録)」をとり、振り返ることで、修正をしていきます。